おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?
今年も残すところあと半月となりました。
The Weekend Brewは来週末に今年の最終号を配信し、年明けは1月9日から再開となります。
ちょうど今週〜来週にかけて、Standart Japanは次号の校了の追い込みでテンテコ舞い状態。ですが去年とは違い、年末年始に校了期間が重なっていないこともあって、今年はゆっくりとした年越しを迎えられそうです(ほっ)。ニュースレターも去年より1週長めにお休みをして、英気を養いたいと思います☺️
ところで、ノルウェー・オスロの生豆業者Nordic ApproachのInstagramで面白い投稿がありました。2019年からインドネシアのスペシャルティコーヒー生産者と一緒に実験的な発酵系の精製方法「テンペ プロセス」に挑戦しているのだとか。今年はこれまででベストなものができたそうですよ。
ご存知の方も多いかもしれませんが、テンペはインドネシア発祥の納豆みたいなもので、大豆などをテンペ菌で発酵させた醗酵食品です。テンペ プロセスでは、テンペの発酵に使われるテンペ菌(クモノスカビ)と乳酸菌を使って、2日間コーヒーチェリーを乳酸発酵させます。その後はハニープロセスの要領(チェリーのパルピングのみ行い、ミューシレージを残した状態)で乾燥させているそうです。
テンペは、オランダに住んでいるときに、家の近くのテイクアウト専門のインドネシア料理屋でよく食べていたのですが(豆腐みたいな味だけどより大豆感が強く、ふわふわと多少噛みごたえのある感じ)、食べ物の記憶が強すぎてコーヒーの味が全く想像できません。精製処理にかなり手間がかかりそうですが、どうやらさまざまなフレーバーが生み出されるようで美味しいのだとか。いつか飲んでみたいですね。(もちろん、納豆菌で発酵させたコーヒーも!)
それでは良い週末を。
編集長 Toshi
This Week in Coffee
世界のコーヒーニュース
捨てるから溶けるへ
ロンドンを拠点とする食品パッケージのスタートアップ企業NotPla (Not Plasticに由来)が、シリーズAラウンドで約15億円の調達に成功したとFast Companyが報じています。同社が新たに開発したのが、インスタントコーヒー用の透明な包装フィルム。なんでもフィルムに包まれたままの状態のコーヒーにお湯を注ぐだけで、包装自体が「溶けて消える」仕様になっているのだそうです。
そんな魔法のようなフィルムの原料は、なんと海藻。海藻由来ながら無味のフィルムを用いることで丸ごと溶かせるだけでなく、海藻に含まれる食物繊維や抗酸化物質も同時に摂取できるとのこと。とある研究では、プラスチック製ティーバッグをお湯に入れると、大量のマイクロプラスチックが放出される可能性が指摘されていることから、健康面でのメリットも期待できるかもしれません。「海藻が面白いのはプラスチックが成し得ないことを実現できる点だ」という共同創業者の言葉の通り、環境・健康上のメリットに加え、パッケージ自体のコンセプトを覆そうとする同社の試みに注目が集まります。
お湯を注ぐだけの冷凍コーヒーキューブの事例をはじめ、スペシャルティコーヒーのハードルを下げる取り組みは今日のコーヒー業界の大きな潮流の一つ。今回のNot Plaのような取り組みと相まって、その流れがより大きな、そして持続可能な波となって業界の活性化に繋がれば、と想像が膨らみます。
その他の気になるニュース
▷ スターバックスがシアトルの2店舗限定で、牛乳と同じタンパク質成分を持つ培養ミルクの試験運用を開始。乳成分(アレルゲン)は含まれていますがラクトースフリーで、注文に伴う追加料金も発生しないそうです。
▷ ハリケーン「イタ」、「イオタ」後の湿度上昇を受け、中米諸国ではコーヒーさび病が蔓延しコーヒー生産量も減少。中米のコーヒー生産者の中にはアメリカへの不法入国を試みる人が増えつつづけています。
▷ 2021年の絵文字ランキングで、約3600個中コーヒーの絵文字「☕️」が124位に。2019年に比べ20位も順位を上げているそうで、道行くあの人もこの人も、実はみんな頭の中はコーヒーでいっぱい?
▷ JR東日本らが「新幹線オフィス車両」の利用層向けに、コーヒーとシェアオフィスのサブスクサービスを期間限定で開始。ちなみに同社は先日、東京駅内に完全自動のスタンドアローン型コーヒーマシン「Ella」の導入を発表しています。
▷ 一人でクロージング作業を行なっていたスタッフが、店内のスピーカーから流れるK-popに合わせてダンスを披露。曲とダンスの世界に没頭し、振り向いた次の瞬間……そこには帰ったはずのマネージャーの姿が。これには思わず拍手喝采。踊りたい気持ちは抑えきれないですね。
What We're Drinking
今週のコーヒー
『コーヒーで有機的なつながりを』をコンセプトに2021年1月に清澄白河にオープン。すっきりとクリーンなコーヒーを味の特徴にコロンビアとエチオピアのコーヒー豆を自社焙煎で行っています。 COFFEE & FRUITSをテーマに、コラボレーションで置いている fruits and season のフルーツサンドを店内で一緒にお楽しみいただけます。
コーヒー情報
生産者:Tasfaye Degaga(農園名:Tade GG)
生産地域:エチオピア オロミア州グジ県シャキソ村(地図)
品種:ティピカ
精製方法:ナチュラル
テイスティングノート:ベリー、ピーチ、アプリコット
編集長のコメント:
洋梨酒とスパイスのような妖艶な香りがするエチオピアのティピカ ナチュラル。このコーヒーのように品種がしっかりわかっているもので、なおかつティピカ種というのは、エチオピアのコーヒーで実はあまり飲んだことがないかもしれません。現にこれまでのThe Weekend Brewでもエチオピアのティピカは初登場です。ただやっぱりエチオピアだな〜と感じる花のようなフローラルで柔らかな甘さのフレーバーを感じます。王林(青リンゴ)のような爽やかな甘さとジューシーさも。女性的なコーヒーをイメージすることも多いエチオピアのコーヒーですが、このコーヒーは少し様子が違っていて、どこかしっかりとして凛とした佇まい。きっとそんな言葉はないけれど、体幹のあるコーヒーという表現が何故かしっくりときました。派手すぎず、毎日でも飲みたいなと思える、桃の花のように白とピンクのイメージを感じたコーヒーでした。
Artists in Residence
Standartを彩るアーティストたち
アーティスト:
プロフィール:
オランダ在住のフルタイムフォトグラファー。バリスタ、弁護士というキャリアを経て現職へ。コーヒーとスポーツの世界に導かれながら、日々自身の興味に近いテーマの撮影に時間と情熱を注ぐ。
最新の掲載記事:
Standart Japan 第15号 ボスでいるということ - Ralf Rueller
Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート
『Pleasure, Joy and Happiness』エディ・チャコン
90年代初頭にデビューしたソウルデュオ、チャールズ&エディのエディ・チャコンが昨年リリースしたアルバム。タイトルから想起されるジャクソン5ばりの溌剌さとは裏腹に、浮遊感のあるシンセの上に載ったかすれ気味のボーカルが心地よく、晩夏の夜風に吹かれてつい微笑んでしまうときのような地に足の着いた幸福を感じられる作品です。チープな打ち込みドラムとそぎ落とされた構成からはパーソナルな空気が漂い、そこには世相が反映されているのかもしれません。一曲目を飾る「Trouble」のミュージックビデオには小屋の中で独り佇みながらもどこか満足げなエディが収められており、本当にこんな感じでアルバムを作っていったのかもなと勝手に想像してしまいます。個人的には、音の粒がひとつ、またひとつと水の中に沈んでいくように鳴るシンセベースが印象的な「Above Below」が気に入ってます。
Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ
兵庫県出身の22歳。 学業の傍ら、SCHOOL BUS COFFEE STOP京都店にて2年半前からバリスタキャリアをスタート。 現在も週の大半は勤務し、店舗のコーヒー品質管理や商品開発などに積極的に携る。 "誰かの日常の一部になるような場所" とビジョンの下、一杯のコーヒー・一期一会の出会いを大切にしながらカウンターに立つ。 愛を持って。 カメラで友だちやものを撮ることにハマり中📷
セットアップ:
抽出器具:ORIGAMIドリッパー/ waveフィルター
豆量:16g
湯量:250g
挽き目:中細挽き(みるっこだと4.5くらい)
湯温:93℃
抽出時間:2:30
手順:
- 30g注いで30秒蒸らす(ドリッパーを回して攪拌)
- 120gまで注ぐ 1:10くらいまで待つ
- 200gまで注ぐ 1:40くらいまで待つ
- 中心にそっと250gまで注ぐ
ポイント:
▷ クリーンでありつつ甘さを引き出すレシピです😊
▷ 2、3投目のおもいきった注ぎ方と細かめのグラインドで最初のほうに美味しい成分を一気に抽出!
▷ 落ちきりの時間に合わせて挽目を変えてみてください😊
今週の The Weekend Brew はいかがでしたか?
バックナンバーを含め、The Weekend Brewの感想やコメントはぜひ #standartjapan のハッシュタグと共にシェアをお願いします! 質問はメールでお待ちしております。またお友達やご家族など、The Weekend Brew を一緒に楽しんでもらえそうな方にこのメールを転送していただけると嬉しいです。
Standart JapanのウェブサイトやInstagram、Facebookもぜひチェックしてみてくださいね。
今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第18号スポンサーのブルーマチックジャパン、パートナーの Victoria Arduino x トーエイ工業、The Roast Expert by Panasonic、FAEMA x DKSHのサポートでお届けしました。
LOVE & COFFEE✌️
Standart Japan
(執筆・編集:Takaya & Atsushi)