おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?
私は友人の経営するコーヒーショップでたまに店頭に立つことがあります。今週は久しぶりのシフトインでした。コーヒー雑誌を作っているとはいえ、もともとバリスタなどコーヒーの仕事に携わっていたわけではない
毎回思うことですが、バリスタの仕事は本当に多岐に渡ります。お客さんとのコミュニケーション、掃除や整理整頓、コーヒーの抽出と提供、商品の発送準備や備品の管理と準備、
何気なく立ち寄る素敵なお店の裏側では、コーヒーのプロたちが私たちに最高のコーヒー体験を届けるために奮闘していると改めて感じる機会になりました。ちなみに、1番の役得だと感じるのは、焙煎された豆が保管されているコンテナを開けたときのなんとも言えない匂いを嗅げることです。
そしていよいよ、来週より
編集長 Toshi
This Week in Coffee
世界のコーヒーニュース
知るは難く、行うは易し
日々増殖する情報に囲まれた「情報過剰社会」に生きる私たち。特に毎日何億という数の人々が情報を双方向にやりとりするソーシャルメディアは、コーヒー業界にも多大な影響を及ぼしています。この記事ではカフェやコーヒーショップが急増中の香港を例に、インフルエンサーを中心とするカフェの消費傾向が描かれています。
普段私たちは情報の大海原から欲しいものを「自ら」手に入れるのではなく、だれかの手によって整理された、つまり「キュレーター(メディアやインフルエンサーなど)」を通じて情報を収集することがほとんどです。そして
ここで重要なのは発信される情報の良し悪しではなく、私たちの触れる情報は既に誰かが「整理したもの」だという事実を認知することです。ソーシャルメディアは新たなコーヒーの一面や素敵なお店との出会いの場になり得ることは間違いありません。だからこそ大切なのは目の前の情報を鵜呑みにするのではなく、その背景にあるストーリーに触れることではないでしょうか。私たちに問われるメディアリテラシーとは、言い換えればそんな文化やモノの「
共鳴する声明
10月、米国のコーヒー産業界における人種の多様性と平等を目指す非営利団体、CCRE (The Coffee Coalition for Racial Equity)が正式に発足。この背景には今年6月、創設者のPhillis Johnson がBLM運動の再燃を受け、コーヒー業界のリーダーたちに向けた人種差別撲滅への連携を訴える公開状があります。そこに描かれた彼女の強い思いは、その後
そして近年はバリスタが牽引するアクティビズムが盛り上がりを見せています。2017年、本誌第12号でも特集したAshley Rodriguezさんは、男性優位なコーヒー業界におけるバリスタの公平性とエンパワメントについて発信するポッドキャストBoss Baristaを開始し、同年10月には業界内の差別、セクシャルハラスメントの撲滅を目指すコミュニティプロジェクト#coffeetooが発足。そして翌年、#coffeetooの創始者Molly Flynnさんが登場したBoss Baristaの放送に影響を受け、オーストラリアのスペシャルティコーヒー業界内の女性や性的マイノリティへのエンパワメントに取り組む団体SAME CUPが創設されるなど、バリスタによるアクティビズムの広がりが新たな繋がりを生み出しています。
そして皮肉ながら、このようなアクティビズムの発展を促進しているのも、やはりソーシャルメディアなのです。今日を生きる私たちは、あらゆるメディアを通じてバーカウンターの隔たりを超え、バリスタ、そしてさらに遠くの生産地とも繋がることすらできます。メディアを通じた「見方」と「味方」、その両面への理解を一人一人が深めていくことで世の中にエンパシーが広がり、コーヒーに関わる全ての人々のより良い生き方に繋がってほしいと心から願っています。
その他の気になるニュース
▷ コーヒー農家が収穫物の対価を受け取るまでに最大
▷ 10月21日、ハワイのマウイ島でさび病にかかったコーヒーノキが発見されました。感染源や感染時期などは分かっておらず、収穫への長期的な影響も懸念されています。
▷ ブラジルにて、アフリカミツバチと西洋ミツバチのハイブリッド蜂を取り入れた生産方法が人気。カッピングスコアが
▷ メルボルンに突如現れた「ストリート・ラテアーティスト」。神出鬼没で素性は一切不明、残された情報は道に「注がれた」アートのみ。果たして犯人
▷ 第128回国際コーヒー理事会にて、歴史上初の官民合同特別委員会が発足。コーヒー産業の包括的で回復力のある経済的持続可能性を追求する共同声明が発表されました。生産者の暮らしと産業の持続可能性をコア・ビジョンに置き、 今後4~6カ国の農園への支援プロジェクトを開始予定。
What We're Drinking
今週のコーヒー
ゆげ焙煎所
兵庫
おいしいコーヒーはすてきな飲みものであるという想いのもと、心に響くコーヒーを届けるゆげ焙煎所。2013年に兵庫県西宮市で創業した自家焙煎のスペシャルティコーヒー専門店です。オープンからこれまでコーヒーと真剣に向き合い続け見えてきた焙煎を体験してください。ゆげ焙煎所のコーヒーを飲んだ後はきっと、優しい気持ちになれるはず。心に響きますように。
生産者:
サンタローサ農園 リベラ・ラウール
生産国:
エルサルバドル、チャラテナンゴ、サンイグナシオ市 (地図)
品種:
パカマラ
精製方法:
ハニー
テイスティングノート:
焼きリンゴ、メープル、シロップ
編集長のコメント:
いつものように豆を挽いた後で香りをかごうと鼻を近づけると、とてつもない芳香で顔面にパンチを食らったような衝撃を受けました。こんなに香りのたつコーヒーがあるのかとびっくり。フレーバーも香りに負けず重厚なボルドーワインのようなどっしり感。プルーンのような濃縮されたジューシーさと、発酵感を少し感じ、りんごがゴロゴロ入ったオランダスタイルのアップルパイも思い出させてくれます。和三盆のような上品な甘さが口いっぱいに広がり後味は少しのカカオ。ここまで聞くと濃厚なイメージがありますが、本当にクリーンカップで、心地よい飲み口やフィニッシュがたまりません。
Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート
砂糖の世界史 - 川北 稔
概要
岩波書店の小中学生向けレーベル、岩波ジュニア新書から出版された名著と名高い「砂糖の世界史」。砂糖というありふれたものから世界史を読み解いていく本で、「これが子ども向けなのか……」と思うくらい面白く一気読みでした。「砂糖のあるところに、奴隷あり」という言葉が同書に出てくるように、イギリスやフランスなどヨーロッパ諸国で、
映画『監視資本主義:デジタル社会がもたらす光と影』
今年の夏に公開された本作は、Goog
Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ
TAKAMURA COFFEE ROASTERSでバリスタ、ロースターとして勤務。休みの日はレコード屋を巡るのがマイブーム。
セットアップ:
抽出器具:AERO PRESS(アップライト)
豆量:15g
湯量:220cc
挽き目:細挽き(wilfaのエアロプレス挽き)
抽出温度:90℃
抽出時間:2:30
手順:
- 220ccのお湯を注ぎ、5回ステア
- 1分間待つ
- 1分間かけてプレス
- よく混ぜたら美味しいコーヒーの完成!
ポイント:
▷ 器具はしっかり温める
▷ 最初の投湯からステアまでは30秒くらいおく
▷ あとは難しいことはなし!とにかく楽しくシンプルに
一言:
その日の気分で豆やカップを選んだり、たまには公園や山の上でも…楽しみ方は十人十色。 大阪に来た時は是非タカムラでしか体験できないこと楽しみに来てください!
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今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第13号スポンサーの Daterra、パートナーのトーエイ工業、Swiss Water、Department of Brewlogy のサポートでお届けしました。
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