世界中のスペシャルティコーヒーコミュニティが現在、困難に直面しています。多くの国や地域ではカフェやレストランが営業停止を余儀なくされ、そこで働く人たちは職を失うかもしれないという恐怖と日々戦っています。今こそ、それぞれの地域のカフェやロースターからコーヒー豆やテイクアウトコーヒー、グッズを購入し、いつも私たちに幸せを届けてくれる人たちをサポートしていきましょう。
Standartは誕生から今までフルリモート体制でオペレーションを続けてきました。それは私たちがリモートワークの可能性を信じているからこそ。しかしどんな体制であったとしても重要な(そして難しい)のは、いかに効率的に業務を行うかです。
そこで、幸運にも自宅で仕事を続けられる人たちに向けて、Standartの誕生から5年間で私たちが学んだ「リモートワークを成功に導く8か条」をご紹介します。
リモートワークに全振りする
まず大前提として、中途半端な施策がうまくいことはありません。不測の事態が起きているから今だからこそ、効率的に働くためにはリモートワークをその場しのぎの対策としてではなく、「これからずっとリモートワークを続けるんだ」くらいの気持ちでいることが重要です。私自身はリモートワークが、将来の主要な働き方になると信じています。
(リモート)チームにおいては「良い関係=生産的な関係」
仕事の性質上リモートワークができないという人もいると思います。でも、もしもあなたにそのオプションがあるとすれば、実はリモートワークへの転換は複合的ではあっても複雑ではないということを覚えておいてください。以下では、複数のタイムゾーン・国境からなる「オフィス」で私やチームStandartのメンバーが、パフォーマンスを維持するためにいつも意識していることをご紹介します。
1. 非同期コミュニケーションを意識する
あるタスクに取り組んでいるときは、メールやチャットの通知が来たとしても手をとめないように注意しましょう。できれば本当に重要なもの以外、通知はすべて切ってしまった方が良いくらいです。リモート環境におけるコミュニケーションは「非同期」がキーワードです。
実際のところ、即座に対応しなければいけない問題などめったに発生しません。同僚の質問やリクエストに適時応えることは確かに大事ですが、多くの場合、すぐに手を止める必要はなく、むしろそうすることであなた個人の生産性は損なわれてしまいます。
2. 身の回りの環境を整える
自宅での仕事に慣れてくると、ついパジャマ姿のままメールを返したり、ソファーにのんびり座ってプレゼン資料を準備したりしたくなります。その気持ち、私もとてもよく分かります。でも人間の心というものは環境に左右されやすく、家にいるとつい愛する家族やパートナー、ペット、そして呼び鈴に反応してしまいます。そんな自宅の影響を最小限に抑えるためには、デスク周りだけでも仕事に集中できる環境を整えなければいけません。
まず私がオススメしたいのが、一日中家にいる予定でも、仕事用の服に着替えるということです。シャワーを浴びる、ヒゲを剃る、着替えるといったシンプルな行為は心理的なトリガーとなり、あなたの脳を「仕事モード」に切り替えてくれます。それと仕事をするときに座る椅子は、なるべく快適なオフィスチェアに近いものを選びましょう。疲れが溜まりにくく、気持ちの切り替えにも繋がります。ソファーやベッドはもってのほかですよ! ラップトップスタンド(数冊の本を重ねるだけでもOK)とノイズキャンセリング機能がついたヘッドフォンも個人的にはかなりオススメです。
要点はひとつずつ、簡潔に。
3. 伝え方を工夫する
良い書き手であることは、良いリモートワーカーであるための必要条件だと言えます。しかしここでいう「良い書き手」とは、美しい言い回しや難解な語彙を使いこなせる人のことではなく、文字を通して明快なコミュニケーションをとれる人のことを指しています。しかもこのスキルは才能と呼ばれる類いのものではなく、いくつかの原則に従って練習すれば、誰でも身につけられるものです。職場に限っていえば、すべてのコミュニケーションは生産性というゴールに行き着きます。率直で簡潔な語彙を使い、極端な専門用語を避け、自信のなさを言葉の数で隠すことがないように気をつけましょう。要点はひとつずつ、簡潔に。
4. ツールは手段であることを忘れない
次々と上司から送られてくる、新しいツールへの招待メールを無視したことがあるのは私だけじゃないはずです。リモートワークに使えるツールは山ほど存在しますが、特に人数の多いチームの場合、全員参加の大規模なチャットは避けた方がいいでしょう。特にWhatsAppやLINEグループは有害とさえ言えます。Standartでは、タスク管理やコミュニケーションにはBasecampを、プラニングにはAirtableを使っています。以前はAsanaやTrelloを使っていました。どれも素晴らしいツールですが、なるべく数は絞り、ツールはあくまで生産性を上げるための手段であるということを意識しましょう。
5. ミーティングにはシビアな目を向ける
非同期で明快な文字でのコミュニケーションに慣れてしまうと、対面でのミーティング(Standartの場合はバーチャルコーヒーブレイクやビデオ通話)を以前ほど頻繁に行う必要がないということに気づくと思います。かつてIntelのCEOを務めたAndy Grovehはこう言いました。「ミーティングを計画する前に、まず自分が何を成し遂げようとしているのかを考えてみてください。そしてその目標のために、ミーティングが必要か、望ましいか、正当化できるかを考え、すべてに対して『YES』と答えられないようであれば、そのミーティングはやらない方が良いでしょう」
特に自宅隔離が要請されるような状況では、同僚と繋がっていたいという気持ちが強くなると思いますが、ミーティングの数を減らしても、他の手段で同僚との関係を維持することはできるので心配は無用です。
自分たちの目指す姿を明確化する。
6. 貢献度にフォーカスする
「仕事をすること」ではなく何かを達成することに力を注ぎましょう。別の言い方をすると、あなたの「仕事」が何であるかではなく、あなたにはどんな「成果」が求められいるかにフォーカスするということです。もしもチーム全員が客観的な成果にフォーカスし、自分たちの目指す姿を明確化できれば、良い人間関係が自然と育まれていきます。(リモート)チームにおいては「良い関係=生産的な関係」。たとえあなたが蒸らしの時間さえ惜しんで、キッチンのドリッパーの横で仕事をして:忙しそうにして”いたとしても、誰も気づきませんからね。大事なのは何をしたかですよ!
7. 共感を大切にする
リモートで働く他のメンバーとのやりとりでは、自分の言葉が相手にどのように解釈される可能性があるかをよく考えましょう。逆に相手の言葉の裏にはいつもポジティブな意図があるという前提に立つことも大切です。文字とスクリーンを介したコミュニケーションでは口調やニュアンスが失われてしまうので、相手は常に自分のことを思って発言してくれていると見なすわけです。そうすることで根拠のない不安や誤解を防げますし、実際のところ、相手の真意はポジティブである場合がほとんどです。
8. 仲間を信じる
リモートワークは信頼の上に成り立っています。自分の仕事を全うするために、誰かの監視は必要ありませんし(その有効性も疑わしいですし)、オフィスにいたとしても仕事をしているフリをしてYouTubeを観ていられますよね? チームとしての優先順位、そして誰が何をしなければいけないかを明確化し、シンプルで効果的なツールを導入すれば準備は万端です。自分自身と同僚を信頼すれば、同僚もあなたのことを信頼してくれます。
リモートワークは信頼の上に成り立っている。
ここまでにご紹介したことは、Standartを運営する中でリモートワークに関して得た気づきの一部に過ぎません。それでも、私たちが効率的に、楽しく仕事をしつつ、ワークライフバランスを保つのに役立っているアプローチであることに変わりはありません。
これから数週間、数か月のうちにリモートワークによってあなたやチームの生産性が上がるかもしれませんし、事態が収束した後にリモートワークでの気づきをオフィスでの仕事に応用できるかもしれません(その頃にはコーヒーの腕もかなり上がっているでしょうしね)。何よりも体調を優先して、リモートワークを楽しんでください。
ソーシャル・ディスタンスの外から愛を込めて。
Michal Molcan
Standart 創刊編集長
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