#89: テニス、クリーニング、コーヒー

#89: テニス、クリーニング、コーヒー

おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?

今週から、このニュースレターをスパイスアップして、少し変化を加えてみました。

世界のコーヒーニュースでは、気になるニュースに加えて編集部がナニコレ!と思ったニュースをいくつかシェア。いつものニュースだけじゃ物足りないあなたへぴったりです。あの人のコーヒーレシピは「あなたの街のバリスタ」へとリニューアルして、レシピ紹介ではなく5つの質問をバリスタに投げかけてみることにしました。全国のバリスタたちのパーソナリティをもっとよく知ることができるはずです。そして最後に編集後記を追加しました。The Weekend Brewを一緒に執筆・編集しているAtsushiとTakayaが、ニュースレターのあとがきを書いてくれます。皆さんの日曜の朝のコーヒータイムに、楽しんでいただけると嬉しいです。(もちろん、日曜朝に読めない方は夜でも月曜でもお好きな時間と場所でお楽しみください)

そして今日は4月いっぱい開催している、より多くの人にスペシャルティコーヒーの魅力をお届けしているアプリKOHIIとのコンテスト企画のご紹介! Standart Japanからコーヒーラバーへの5つの質問に答えて、お気に入りのコーヒーの写真と共に投稿しようという企画です。ご参加いただいた方の中から、10名の方に次号(20号)をプレゼントします。もう定期購読してるよ〜という方もぜひご参加いただいて、当選した方はお友達やお近くのコーヒーショップなどにStandartをプレゼントしていただけると嬉しいです。また、KOHIIのアプリにはいろんな情報やインタビュー、エッセーなどもあって本当に面白いので、コンテストに参加されなくても、この機会にチェックしてみてくださいね。

今週のStandart Japanは、次号のリリースに向けて準備を着々と進めています。もうすぐ、印刷会社からサンプル誌が届く頃です。皆さんより一足先に印刷されたばかりのまだ誰も見たことがない雑誌を手にするわけですが、バック・トゥ・ザ・フューチャー2でマーティーがスポーツ年鑑を手にした時のような罪悪感とワクワク感があるなと勝手に想像しています。え、観たことないって? 今日の夜にでもぜひ。

それでは今週も良い週末を。       

編集長 Toshi

 

 

This Week in Coffee 
世界のコーヒーニュース

あなたはいつだって求めるに値する

コーヒー業界における職場の問題について、毎週ポッドキャストとニュースレターを配信する「Boss Barista」。先日のニュースレターのテーマは、「採用時の給与交渉」でした。Standart Japan第12号にも登場してくれたホストのアシュリーさんが、自らの体験や友人の事例を踏まえながら、就職・転職時の給与交渉の必要性や妥当性、注意する点などについて紹介しています。彼女のアドバイスの要点は以下の通り。

  1. 交渉相手を仲間にする
    交渉時に「ここで働きたい」という前提を忘れず伝えること。そしてどうすれば自分の希望する給与が得られるかを一緒に交渉相手に考えてもらえるように話を運ぶ。「交渉=物議を醸す」ではありません。
  2. 過去の経験や仕事の性質と給与向上の妥当性を結びつけて説明する
    日々の業務以外にも、オンライン・オフラインイベントへの参加が求められるなら、過去にイベント運営やファシリテーションに関わっていたことをアピールしてみては?
  3. 複数のオプションを提示する
    例えば給与アップ以外に、トレーニング費の負担や有給休暇日数の追加など、あなたが納得できる他のオプションも提示すること。(アシュリーさん友人の事例では、提示した3つのオプションの内、2つが即採用されたそうです)

アシュリーさんはこのニュースレターを、「You can, and deserve to, ask for more. (あなたはより多くの報酬を求めることができ、また求めるに値する。) 」という言葉で締めくくっています。米国に住む彼女のアドバイスを、文化の異なる日本でそのまま採用するのは難しいかもしれませんが、希望を伝える姿勢や、交渉時に注意すべき点は頭に留めておきたいですね。

 

その他の気になるニュース

▷ 現在一部の商社が、ロシアのコーヒー企業との取引を延期・停止ていると報じられています。コーヒーは制裁対象品目ではありませんが、支払い・運送に関する懸念が高まっており、リスク回避のために前払いや暗号通貨での取引も行われているようです。

▷ 飲食店向けAIロボティックス企業Misoが、米国のベーカリーチェーンPanera Breadのセルフサービスのコーヒーコーナーモニタリングシステムを導入中。温度と残量を管理でき、入れ替えタイミングを通知してくれるので業務の効率化が期待されています。

▷ 大坂なおみ選手が見事準優勝したテニスのマイアミオープン。実は会場のVIPエリアでは、NBA選手ジミー・バトラー率いるコーヒーブランドBig Face出店していました。

▷ 今年の秋には、岡山県産コーヒーが飲めるようになるかも? 栽培を手がけるアグリジャパンは沖縄を本拠地にコーヒーやパイナップル、バナナなど熱帯作物の国産化に取り組んでいるそう。品種や精製など、諸々詳細情報が気になりますね。

▷ よく見たら、お気に入りの服にコーヒーのシミが……! そんなときは「ティースプーン½の洗剤、カップ¼の酢と冷水を混ぜた洗浄液を塗り、歯ブラシで軽く擦る」べし。門家によればなる早の行動が大事みたいですよ。

 

What We're Drinking
今週のコーヒー

 

KURIYA COFFEE ROASTERS 宮城(地図) 

宮城県川崎町の田園地帯、古民家を改装したロースタリーカフェ。宮城県のスペシャルティコーヒーの創成期から専門店として開業し、今年で8年目になります。生産者の想いやそのテロワールを大切に、コーヒーの持つポテンシャルを最大限引き出し、焙煎で過度に作りすぎないよう心がけています。コーヒーが本来持っている甘くフルーティな味わいを得意としています。田舎ののんびりした環境ではありますが、焙煎は先進的です。Diedrich Roasterに複数の温度計を追加し、その熱状態を網羅的に把握することで、科学的根拠をもとにした焙煎を追求しています。
また、東北初のシェアロースターの設立に向けて、クラウドファウンディングを実施中です!

 

生産者:Humure Washing Station / Baho Coffee

生産地域
:ルワンダ 東部州ガツィボ地区(地図

品種
:レッドブルボン

精製方法
:ナチュラル

テイスティングノート
: ブラッドオレンジ、ライム、レッドカラント、フラワリー、チョコレート。クリーンで甘くジューシー、とても軽やかなナチュラルです。

編集長のコメント:

少し前に登場したばかりのルワンダですが、今回は北東に位置するガツィボ地区のものでした。個人的に好みのコーヒーが多い生産国ですが、今回もドンピシャでした。しっかりとしたボティ感ととてもジューシーな味わいのコーヒー。良く熟れたプラムにかじりついた時に、口に広がる花のような香り。そして果肉と歯の間から溢れ出る赤く滲んだ甘いジュースを啜るような感覚。特徴的なのは、その柑橘系のフレーバーで、黒糖のような甘さやスッキリしたクリーンな味わいと合間って、サントリー・なっちゃんのオレンジ味を思い出しました。フレーバーの奥に、カカオやコーヒーヌガーようなニュアンスも。全体的に、噛み応えを感じるような芳醇でパワフルな印象。これからの季節、アイスでも最高に美味しくなってくれそうです。いやぁ、美味しい! ごちそうさまでした。


Artists in Residence
Standartを彩るアーティストたち

アーティスト: 

ジュリアーノ・ブッタフォーコ ウェブサイトInstagram

プロフィール:

エディトリアル、ADV (アドベンチャーゲーム) 領域を中心に活動するイラストレーター。モーションデザイン・アニメーションスタジオ「Antimatter」にも所属。主なクライアントにNike、Apple、Illyなど。

最新の掲載記事:

Standart Japan 第19号「最低賃金の目利き」

 

Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート

Goldie the Dollmaker(「ゴールディーのお人形」)

先日、お祝いでいただいた絵本。アメリカの絵本作家M.B.ゴフスタインの作品です。児童書というカテゴリーですが、結構文字も多く漢字も読み仮名がなく随所に使われているので、小学校上学年〜大人が楽しむような絵本でしょうか。両親が亡くなってから人形を作りながらひとりで暮らす女の子ゴールディが、あるランプとの出会いを通じて、自分の仕事への誇りやひいては自分自身への愛を再確認するようなお話。職人としての生きがいや想いを強く感じるこの作品、読んでいてゴールディの気持ちが痛いほど伝わってきます。シンプルなラインの絵も、ミッフィーで有名なオランダのグラフィックデザイナー&絵本作家のディック・ブルーナを彷彿とします。

何もないところから何かを作り出す仕事というのは、自分と向き合う時間が長く、孤独な作業を伴います。ゴールディもその孤独に向き合います。悪意のない言葉でも、誰かを傷つけてしまうこともあり、積み上げてきた自信はいとも簡単に崩れてしまうことも。でもそれを乗り越えた先に自分を信じるという力を手に入れることができるのかもしれません。

ゴフスタインさんは幼少の頃、本というものがあまりに素晴らしいので、人間が作ったものとは思えず、神様がくれたものだと思っていたそうです。その感性自体がすでに素晴らしいのですが、本が人の手によって書かれたものだということを知って以来、本を書く仕事をしたいと思っていたのだとか。

「まだ会ったこともない誰かのために、どこかの誰かがきっと気に入ってくれると信じて、一生懸命に作る」という言葉が絵本の中に出てきます。これは自分自身の仕事にも、世の中のありとあらゆる仕事にも共通する意識の持ち方なのかなと感じました。自分が将来どんな仕事をするかを考えている人に、そして今さまざまな仕事を経験してきた人をはじめ、仕事に向き合うすべての人々に送りたい物語です。何度でも読み返したい本と出会うことができました。



Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ 

 

Nari

コーヒーがあり人々が好き勝手している空間を作る事をテーマに、coffee conbiniという名前で色々なところでポップアップや間借り営業などの活動しています。たまにイラストなどを描いてポスターなんかも作ったり、文章を書いたり、絵本なんかも作ったりして遊びながらcoffee conbiniの世界観を作っています。

5 questions

今気になっている問いは?

「今は無き詩人や芸術家、ミュージシャンや作家などの表現者はコーヒーが好きだったんだろうか??好きだったらどんなふうにコーヒーを飲んでいたんだろう?どんなコーヒーが好きだったんだろう?」
そして私の好きな今は無き好きな作家達がどのようにコーヒーと触れ合っていたのか。今はもう聞けないから想像したり、書物を読む事で見えてくる場所でしか分からない。
実際本人から聞くことが出来ないからこそ真相が分からないのが考える余地があるのが嬉しくてワクワクしますよね!

お気に入りの場所は?

実際にある場所では無いのですが、私が昔から想像している何処か遠くにある町がお気に入りです。全てが美しくて少し変な街並みです。私は絵が下手なのでその美しい景色を描き上げることは出来ませんが、まあ想像の中の事なので、それはお気に入りになっちゃいますよね(笑)。もう少し具体的な場所で言うと、コーヒーやビール、ワインなんかを飲みながら各々が勝手に楽しんでいる空間というか、場所がとても好きです。席はあるけど座らない、立ちながら飲んでいたり、席で寝ていたり、真剣な話をしていたり。そういう空間に入るとかなりワクワクしてしまってその場所がお気に入りになります。

譲れないこだわりは?

あまりないので強いて言うなら固めすぎたこだわりを作らないことだと思います。こだわりすぎるとあまり楽しくないので。

今誰と一緒にコーヒーを飲みたい?

沢山いすぎるのと、あまり現実的では無い方々が多いですね……強いてあげるならジムジャームッシュ監督です。何かを表現している人とご一緒したくて、私の好きなコーヒーという飲み物をどのように感じているのかを見てみたいです。

あなたのギルティ―プレジャーは?

タバコが好きです。ただ、人に迷惑をかけないように気をつけなくては、と思います。タバコとコーヒーやビール、ワインなんかを楽しむ事がたまりません。



Fancy a refill?
編集後記 

今号からちょっぴり変わったThe Weekend Brewはいかがでしたか?

Standartのデザインを一新したときのように、The Weekend Brewもメンバー3人の「もっと面白くできるんじゃない?」という良い意味での不満を原動力に、少しずつアップデートを重ねています。

ところで、僕も色んなニュースレターに登録しているんですが、忙しいときに後で読もうと思っていたら、結局インボックスの奥底に何通もたまってしまっていたってことありませんか? すると手を着けて読み終えられていない本のように、罪悪感を持ってしまいますよね(僕だけ……?)。

そういうときはとりあえず開いて、1つでも2つでも興味のある項目を読んでから、諦めてアーカイブ or 削除するのがおすすめです。FOMOなんて言葉もありますが、すべての情報を追うことはできないし、その必要もないと思うんですよ。大事なことや興味を持っていることであれば、きっとまた別の機会にその情報と出会えます。情報に支配されるのではなく、自分なりの情報との付き合い方を見つけることにもThe Weekend Brewを活用してみてくださいね。

Atsushi

 


今週の The Weekend Brew はいかがでしたか?

今日のShoutout!は、コーヒージャーナリスト岩崎泰三さん。毎号、最新号のStandartのレビューをしてくれていて、今回も新号について語ってくれました! 泰三さんの目線で語られるStandartは聴いていてとっても面白いんです。いつもありがとうございます!

バックナンバーを含め、The Weekend Brewの感想やコメントはぜひ #standartjapan のハッシュタグと共にシェアをお願いします! 質問はメールでお待ちしております。またお友達やご家族など、The Weekend Brew を一緒に楽しんでもらえそうな方にこのメールを転送していただけると嬉しいです。

Standart JapanのウェブサイトInstagramFacebookもぜひチェックしてみてくださいね。

今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第18号スポンサーのブルーマチックジャパン、パートナーの Victoria Arduino x トーエイ工業The Roast Expert by PanasonicFAEMA x DKSHのサポートでお届けしました。

LOVE & COFFEE✌️
Standart Japan
(執筆・編集:Takaya & Atsushi)