今週、キャンプに行ってきたんですが、そこで初めてコーヒーの手焙煎を体験しました。夜も更けてきた頃、焚き火を囲んで友人や家族と一緒に、マンカシャカシャと呼ばれるフライパンに穴が空いたような焙煎器具を使っての焙煎。これがとてつもなく楽しかったんです。
焙煎が始まると誰かがギターを弾き始め、その音に合わせながらマンカシャカシャを左右に振ると、生豆がフライパンの上で踊りシャッシャと音をたて心地よいリズムを刻みます。軍手をつけた手が熱くて一人1分くらい振って次の人へ渡す共同作業。そしてしばらくすると香ってくる豆の香ばしい香りや聞こえてくるハゼの音。頃合いを見てザルに移して冷ますとできあがり。お湯を沸かして焙煎されたばかりの豆を挽いて淹れてみると、なんとも美味しくて言葉にならない感動がありました。
焙煎機で焙煎されたコーヒーとはもちろん比べ物にはならないかもしれないけれど、間違いなくおいしくて記憶に残るコーヒー。焙煎をもっと身近に感じる体験となり、コーヒーの面白さを再確認することができました。皆さんも機会があったらぜひ。
今週のStandartは、次号のリリースに向けて準備をしつつ、次次号のコンテンツ制作を進めていますよ。次号の発送は11月中旬ごろになりそうです。楽しみにしていてくださいね。
それでは良い週末を。
編集長 Toshi
This Week in Coffee
世界のコーヒーニュース
コールドブリューの新たな形?
近年飛躍的な成長を見せるコールドブリュー (水出し)コーヒー市場。2020年度の飲料関連デリバリーオーダーランキングでトップ5、売上前年比約206%を記録するなど、その人気の度合いが伺えます。そして、現在世界のスペシャルティーコーヒーショップで徐々に提供され始めているのが、ミルクブリュー(ミルク出し)コーヒーをベースに作られるアイス、通称「コールドブリューアイスクリーム」。その詳細と今後の展望について、Perfect Daily Grindのこちらの記事で紹介されています。
その特徴として挙げられているのが、コーヒーの強いフレーバー感です。ミルクそのものにコーヒーの味わいを抽出できるコールドブリュー方式を採用することで、コーヒー豆の品質・フレーバーがアイスクリームの最終的な味わいに直結します。コーヒー同様に、アイスクリームを通じて各店のこだわりが感じられるのが大きな魅力の一つと言えるでしょう。一方で、品質面を考慮すると大量生産が難しい商品でもあるため、オペレーション面での工夫が必要となると予想されます。日本だと、今年8月に佐賀県にオープンしたミルクブリューの専門店Milk Brew Coffeeさんにも是非足を運んでみたいところ。
スペシャルティコーヒーショップの新定番が生まれる予感。余談ですが、夏の暑い日のアイスクリームはもちろん、少し肌寒い日に温かい部屋でアイスを頬張るのってほんとたまらないですよね。
その他の気になるニュース
▷ ウガンダが2022年2月をもって国際コーヒー機関を脱退すると表明。エチオピアに並ぶコーヒーの輸出・生産量を誇る同国ですが、この度の決断が国内のコーヒー産業に及ぼす影響に不安が募っています。
▷ 東京・浜町にオープン予定のSingle O Hamacho。その見所の一つが、日本初上陸の「コーヒー・オン・タップ」。このセルフ式のコーヒーサーバーなら、忙しい朝も10秒でコーヒーを楽しめるそう。体感後のご感想お待ちしてます!
▷ 以前のニュースレターでも紹介した冷凍コーヒーキューブのスタートアップCometeerが、シリーズBラウンドで新たに約40億円の調達に成功。同資金は同社のさらなる生産拡大に当てられる予定です。
▷ ケニアではラクダのミルクを使ったカプチーノ、通称「Camel-ccino」が親しまれているのだそう。ラクダミルクには牛乳の約3倍のビタミンCが含まれており、市場としての急成長も見込まれているのだとか。
▷ なんとコーヒーによって、家に閉じ込められてしまう珍事件が発生。どうやらデリバリーオーダーが原因のようですが、これはコーヒーラバーにとっては究極の二択……。
What We're Drinking
今週のコーヒー
大阪、北摂エリアに新しくオープンするコーヒーショップ。私たちは 「自らが持つ独特な特徴を表すコーヒーもしくは、コーヒー体験として独特な性質によって認知され、それらの特徴故に、市場において明確な付加価値を有する」 と定義づけされたコーヒーを扱います。コーヒー豆のTERRA(栽培環境だけでなく、私たちの元にやってくるまでに関わる過程も含めた特性)を感じる豆により、素材本来の風味を最大限に引き出す焙煎を行います。 ただ「黒くて苦い」だけじゃない。 ユニークな味わいと体験をもたらしてくれる私たちのコーヒーを、是非試してみてください。 go on a journey コーヒーと共に旅にでよう。
生産者:カルロス・レムス
生産地域:エルサルバドル チャラテナンゴ県ラ・パルマ地区 エル・トゥネル (地図)
品種:パカマラ
精製方法:ハニー
テイスティングノート:透明感があり、口当たりは柔らかく、ほのかにデーツやブラウンシュガーを思わせる甘さと紅茶のような後口が特徴です。
編集長のコメント:
長細い瓶に入った少し変わったデザインのパッケージで、ラベルも写真にカラーやシェイプのイラストアレンジ(マーブリングのような?)を加えていて独創的。コーヒーを飲む前からワクワクさせてくれます。フレッシュなブルーベリーのようなイキイキとしたジューシーさを感じ、鼻を抜けていくほのかな発酵感がヨーグルトを彷彿とさせます。これは確かどこかで・・・と思い出したのはブルーベリーハイチュウ。酸味よりも甘さが強いみかんのような味わいも。しばらくして温度が下がってくると、パッケージのフレーバーノートにあるラズベリーとチョコレートをしっかり感じ、ラズベリーチョコレートを食べた後のような独特な甘酸っぱさと長く甘い余韻が続きます。フレーバーに力強さを感じながらも、透き通った淀みない川のようなクリーンな味わいで、スルスルといくらでも飲めてしまいそうなコーヒーでした。
Artists in Residence
Standartを彩るアーティストたち
アーティスト:
シンシア・アルフォンソ Instagram
プロフィール:
作家、デザイナー、アニメーションスタジオ「Rapapawon」の共同創設者としての顔も持ち合わせる。AppleやSnapchatをはじめ、数多のグローバル企業をクライアントに活動しながら、自身の展示活動も精力的に世界で展開している。
最新の掲載記事:
Standart Japan第14号 「色と知覚の関係」
Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート
先日Magazine Isn’t Deadのポップアップを訪れた際に出会った、「感情」をテーマとするカナダ発の雑誌。 ウェブサイトのCommunity Guidelinesに記されている通り、『FeelsZine』はアドバイスを伝える出版物ではなく、常にパーソナルなストーリーをシェアする場所として、寄稿は全てクリエイターの経験に基づくものに限定されています。今回購入した第10号では「LOSS (喪失感)」を切り口に、それぞれの直面する喪失について、詩、エッセイ、写真など様々な表現方法を通じて掘り下げていきます。 『FeelsZine』を読み進めるにつれ、不思議と心と身体の緊張が解れ、自分が自分の弱さを受け入れられる、そんな心地よさを覚えました。そしてそれは、パーソナルなストーリーをシェアできる空間が、客観的な尺度ではない、どこまでもパーソナルな価値観や時間の流れを大切できる場所だからなのだと思いました。インクルーシブな空間とは、そんなパーソナルの先にある調和なのかもしれないと思うと、改めてその繊細な美しさを強く感じさせられます。予期せぬ大きな出来事や変化の中でも、どこまでも寄り添うことを大切にしたい、そう語りかけてくれるような一冊となるはず。
Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ
福岡 弘記 aka ぶんぶん
会社員時代から珈琲が好きで、現在は自家焙煎の豆を販売しています。テイクアウトの珈琲販売も開始する予定です。ロードバイクは一生の趣味。自転車とコーヒーは切っても切れない関係です。
セットアップ:
抽出器具: カリタ HK101
豆量:15g
湯量:200ml程度
挽き目:中粗目
湯温:90℃〜95℃
抽出時間:2:00前後
手順:
- フィルターをセットしてリンスする
- お湯を30秒程度注ぎ25秒蒸らす
- ドリッパーの中の湯量を確認しながらお湯を注いでいく
- サーバー内が200mlになれば出来上がり
ポイント:
▷ 常に味が一定になる様に淹れる
▷ 淹れながら、心の中で、美味しくなれと祈る
コメント:
徳島で頑張っている自家焙煎士5人でグループ「coffee arudenaide」(阿波弁で「コーヒーそこにあるよ」という意味)を作り、イベント出店を助け合いながら珈琲を販売しています。1人の焙煎士でイベントに出店しようとするとなかなか難しいですが、グループだと助け合いながら参加出来て、出店料も安くむし、お客様にとっても、色々な豆を選ぶ事が出来て、一石二鳥です。色々な方々とコラボして、徳島の名産品や元気を発信しています。
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